弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

天使とともに。GOOD-BYE。

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Episode 084

エンジェルナンバー「84」
「あなたの元に流れてくる経済的な豊かな流れを天使たちが、更に増やそうとしてくれています。あなたの元に、これから降り注ぐ豊かさに対して感謝の気持ちを忘れないでください。ある事柄が終わりを告げ、次に進む事でさらにその豊かさは確実なものになるでしょう」

別に天使が家に現れたわけではないが、
今日でこのブログを一休みしようと思う。

8月19日5:41から始まった戦いを一旦終わりにしようと思う…
84日間、過去・現在・未来を旅していたような感じで、時折脳内にドーパミンが分泌することもあったのかなと
心地良い日々を送れてもいたし、睡眠時間を十分に作れない日もあった

特に過去への旅、中国での経験・思い出は、いまだに僕を支配している
きっと幸せを感じていたんだろうね
中国に滞在した20年間に
中国人、日本人、色んな人に出会えて、
いまだに彼らと繋がりを持っている

このブログを書いている期間に、
中国から付き合いをしてる友人にも会えたし、中国の友人からも連絡があったし、
新しい出会いもあったりして、
オレは、いつも幸せなんだと思う

自分の中では、ブログを
12月から復活しようと思ってはいるが、
断言は出来ない

話題がない時に掲げていた不定期恋愛小説は、読者の方に不評だったと思っているので、次回からは外す事にする
チャンスがあれば、別の場所で再構築して発表するつもりだ
誰も期待してないかもしれないが

正直なところ、仕事に疲れた体での作業は、毎日のように眠気が襲ってきて、放り出したい気分の日もあったが、
何とか続けてきた

最後にこのブログを編集してくれた高校時代からの友人にお礼を言いたい
「ありがとうございました」
今後とも出来の悪い僕とお付き合いください 

では、皆様の健康と御多幸をお祈りして
筆を休めます

今日までお付き合いいただき
ありがとうございました

再见了

桜に聞いて下さい。

アリアンスグラフィックHPより


Episode 083


神戸散策 一人旅 11月7日

→   フロインドリーブFREUNDLEBでモーニング、パンは,グラハムロール二個を選ぶ
→ 北野坂にしむら珈琲店でコーヒーを飲む
→ 関帝廟の龍に会いに行く
→ センター街 放香堂でコーヒーを飲む
→    アリアンス グラフィックで『フランス人に教えてもらったカレードリア』を食する予定だったが、次回に持ち越す
→ 中華街で『红烧牛肉面』を二個買う

前回神戸に来たのは,10月9日、あれから、約1ヶ月が経つ
京都駅を9時45分の新快速に乗車
フロインドリーブに着いたのは,10時50分だった

満席のフロインドリーブの2階のカフェには,45人のお客様がいて、男性は,僕を含めて5人だけ、男達には不似合いなお店なのか⁈
そこに男が一人だけで食事をするなんて、ある意味、気持ち悪いと思うんだけど、まあ仕方ないか?
11時半に食事を終えて、レストランを出ると、すでにランチタイムのお客様が10人以上待っていて、、
流行ってる店は違うね
Episode 53で登場したメガネの彼女は,副店長さんでした
会計の時に少しお話をしました
下心は,ないですよ
本当かな???
声をかけることが、おかしいよね

予定通り、北野坂にしむら珈琲店へ、入店時に喫茶か、食事かを尋ねられる、1階喫茶、2階レストランと分かれているようだ
結構ボリュームのあるモーニングを食した後だったので、メニューにある美味しそうなケーキもオーダーすることなく、コーヒーだけにする

にしむらブレンド珈琲950円
カプチーノ1,250円
アイリッシュコーヒー2,000円
クリームソーダ1,100円
ミックスサンドウィッチ1,450円
キッシュ(クォーターサイズ)1,100円

お節介な野郎なのだが、
入店したお店が暇な時は、席を決める時、僕は,デコレ・ターゲットを意識して、通りから見える場所に座る事にしてる。
外からのお客さんが入りたくなるようなベストな場所を選んで…
時間帯のせいか、お客様がいなかったので、窓際の席に座った、1時間半近く店にいた
僕の演出が、うまく行ったのかは分からないが、お客様が何組か入店した

以前会員制だったお店は,95年の震災後一般のお客様も入店可能になった

龍さんに挨拶に行き、放香堂でコーヒーを飲み、お目当てのアリアンスグラフィックに向かう、
3時を回ったくらいにお店に着くと「すぐに戻ります」と言う張り紙が、今月中に読む事になってる中国語の小説を読みながら、入り口付近で待つ、5分もしないうちにマスターの森下さんが帰って来た

コロナビールをオーダーする、ライム入りのね、モーニングしか食べてないが、まだお腹は空いていない、カレードリアは,後でオーダーする事にして…

2回目だと言うのに、昔からの行きつけのお店に来たみたいで、落ち着くんだよな、マスターの森下さんと長い付き合いの友人みたいに会話を楽しむ、神戸に住んでたら、顔を出し過ぎて、仕事の邪魔になるから、もう来ないでくださいと言われるかもしれないが、
森下さんは、僕にとっての憧れのフランスに100回近く行ってるそうだ、次回は,僕もお供しますとは言わなかったが、
萩原朔太郎先生の詩が、頭に浮かぶ
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し…」
遠いんだよな、90年にハネムーンでパリに一泊したことはあるが、永遠に行けないんだろうな、ため息しか出ないね

3時半くらいに森下さんの知り合いのパティシエさんが現れる、彼のお店は,有名店でインスタのフォロワー数が、4万人、恐れ入谷のキシモジン!!
テイクアウトしかやっていないそうで、しかも月曜日が定休日、木曜日にこっそり買いに行こうかな?ケーキを買う為だけに京都から神戸へ行くなんて、オシャレすぎやしない!?笑笑

アリアンスグラフィックには、6時近くまでいて、元町にある中国の物産品を扱っている東栄商行へ、
思い入れがあるカップラーメン『红烧牛肉面』を購入する

Episode 58で少しだけ触れたのですが、1997年に中国で仕事が無くなった時に、持ち金もなく、1日300円の生活をしていた時に、パスタを作ったり、炒飯を作ったり、カップラーメンを食べてました。たまに贅沢をして、マクビティのダイジェスティブビスケット チョコレートを買ってはいましたが、
カップラーメン『红烧牛肉面』の味は,今も忘れません。本当に食べるものがなくて、このカップラーメンを一度に二つ食べて、その日の食事が終わることもありました。多分、一生の中で1番貧乏だったと思います。
でも、美味しいんですよ、是非食べてみてください。

そして、この後のストーリーはと言うと
いつもお世話になってる吉田さんが、大阪から僕が勤める戸張屋に来るので、僕も参加する事になってまして、時間はすでに18時、吉田さん御一行は、17時からお店に来てるはず、京都に着いたのは、19時、
皆さん、まだいらっしゃいました

メンバーの中にケンタッキー出身のチャックがいて、彼は、日本語がペラペラで、話の流れで16日に赤山禅院に寒桜と紅葉を見に行く事になりました

それで、今日の昼に赤山禅院に開花時期を聞きたくて電話をしたところ、

あのう、桜はどんな感じですか?
 チラホラと咲いてます
いつ頃がいいですか
 分かりません
16日くらいは、どうですか?
 桜に聞いて下さい
ありがとうございました

と冷たくあしらわれました

確かにハッキリしたことは、言えないですよね
桜さんに聞くしかないか!?

去年行ったのが遅くて、桜と紅葉のコラボを拝見できなかったので、
16日に行くしかないですね

追記
いつもは、月曜日と木曜日が休みなのですが、今週は連休を取りました
2020年12月30日に亡くなった母親の誕生日が7日で、母親の写真を持って神戸に出かけました
亡くなる前の2年間、母親の言動・行動に異変を感じる事なく、2019年に芸能の仕事をするために上京して、傍にいることもなく、何もしてあげれず、母が亡くなってから、その頃のことを思い出すたびに後悔の念に駆られて、、
20年間も中国にいて、何のお返しも出来ないまま、ずっと迷惑ばかりかけていましたから、
母親の誕生日には,母親を想う時間を作りたかった、
僕が今幸せで生きていられるのも母親の存在があったからだと思いますし、
母親への想いは、一生完結することはないと思います

約束の場所へ行く。『K・陽子』vol.12

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Episode 082

 

不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.12

 

「陽子に恋してるんだ。元々客で来たわけじゃないから。何であんなに簡単に付き合い始めたのか。週に一回は、会ってる。でも、まだ何もやってないんだ。信じられるか」
「やらない方がいいですよ」
「何で、オマエ陽子のこと嫌いか」
「またすぐに冷めますよ。前のMさんの時だって。Sさんと別れるみたいに言ってたでしょう」
「うん。そうだったな。オレ、冷めやすいからなぁ。Mも結婚するらしい。皆オレの前からいなくなってしまう。卒業して行くんだ」
「いいんでしょう、それで。気持ちが続かないんだから」

今までの付き合いと陽子との関係は、違うと思った。石井の言うことも、もちろん当たっている。僕の歴史をずっとそばで見てきた男だから、僕の恋愛パターンは、僕以上に精通している。いつも理想を夢見て恋愛を始める。居心地の良さに相手もその気になる。やがて、僕は理想と現実のギャップに気がつく。そして、自らの手で、恋愛のページを破り捨てる。相手のことは、御構い無しだ。ワガママを絵に描いたようなセルフィッシュ・ジ・エンド。幕切れは、いとも簡単。そして、振り出しに戻る。

陽子とパリで会う約束は、きっと実行する。陽子が来ても来なくても、約束の場所へ行くつもりだ。与えられた運命に従うだけだ。しかし、それもおかしな話だ。現実から逃避している。僕には、現在妻Sがいる。別れているのか、その頃には。多分。いつも多分なんだ。自分の中で全ての計画が、多分でしかない。明日のことも、一週間先のことも、1ヶ月先のことも、一年先のことも。僕は、ずっとそうやって生きてきた。僕の未来に確実性はない。確実なものは、目の前の相手と恋を語る行為。僕が手にできる唯一の現実。

✳この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

木屋町六角西入る。『K・陽子』vol.11

イメージ pixabay


Episode 081


参加型子供食堂の計画について、語らせてもらいます

C' E.T. 2025

コミュニケーション by
エモーションズ ターコイズ・ブルー
Comunication by 
Emotions Turquoise-Blue 
略してC'E.T.

C'E.T.とは
『創造Create』『自由Liverty』
『博愛Philanthropy』
を理念として、子どもたちの現在、未来を明るくするための活動を行うグループです。

活動カテゴリー
①参加型子ども食堂
『食堂あるめいだ』
第二、第四日曜日開催
10:30〜14:00

中学生、高校生に料理を作る喜びと飲食店での接客の基本、世の中の常識(挨拶・礼儀など)を教える

キッチンを体験する、ホールを体験する
店長を体験する

親御さんが、お客様として参加する

1.家族全員と面接をする
2.学びの場であって、遊びではないことを伝える
3.反省会
少しだけ考えよう、自分は成功したのか、それとも失敗したのか?何か気づいたことは,なかったか?


面接
当日
反省会
✳後日、家族全員をお店に招待する

人との出会いに感謝する
親と子の出会いに感謝する
(身近にいる人との出会いが一番大事なもの)

家族との絆を考える

若い頃に世の中の動きがもっと見えてたら、違った生き方、少しは、楽な生き方が出来ていたんじゃないかと思う時があります。例えて言うなら、近道があるのに遠回りをしていた事が後から分かる。


子ども食堂

世間一般のこども食堂の定義

「今晩のご飯はボク1人なんだ」
「お母さんがお仕事の日はお弁当を買って食べるの」
そんなとき、こどもが1人でも入れるのが“子ども食堂”です。

・温かい食事が格安で食べられる
こども(小学生以下)が100円
保護者(中学生以上)が400円

・子ども同士でコミュニケーションが取れる

・アットホームな雰囲気で食事ができる

子ども食堂オープンタイム
月曜日〜金曜日
16:00〜17:30

日替わり定食

アイスクリームBOX設置

ご飯を食べ終わったら、皿洗いをする
歯磨きをする

挨拶を学ぶ
「こんにちは(ただいま)」
「いただきます」
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございました」

③ビジネス店舗としての
通常営業時間;18:00〜22:30
(月曜日〜金曜日)
ランチ営業はしない

大分県佐伯市内での店舗プラン
カウンター10席,
ボックス4席✖️2
total  18席


⭐️小学生の子供が座りやすい席にする
、同時に大人でも座れる小上がりにする

④子ども達と街の清掃ボランティア
(清掃を学ぶ)
森林や公園、海辺の清掃活動
街にゴミを捨てない


以上、現在考えている子供参加型食堂は,こんな感じです

 

不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.11

 

木屋町六角西入る)
Barのスタッフは、サブの石井、それにケンタ。石井との付き合いは長い。石井が高3の時、店に客で来たのが始まりだ。高校を卒業して西陣でサラリーマンを一年務めてから水商売に転向した。女の扱いは、石井に学んだことが多い。手荒に扱った方が、女は慣れやすい。女性をキミ呼ばわりするのは、僕の流儀だが、オマエと呼び捨てにする方が、ナンパの近道だ。オマエと呼ばれて嫌な顔をする子は、相手にしないのが石井流だ。

ケンタは、見るからに真面目な男だ。僕と石井の持つホスト的な雰囲気は、かけらも持ち合わせていない。深夜一時までは、サラリーマン、OLが集まる健全なお店だが、それを過ぎると店のムードが一変する。派手に着飾った女の子が、何人かは決まってやってくる。ケンタは、店に勤めて三日もしないうちにお水業界の洗礼を受けた。祇園の花見小路、新橋のクラブ『パラディッソ』に勤める美香とマリにヘネシーをしこたま飲まされた。新人イジメで有名な二人だった。「もう飲めないっす」のケンタの一言にマリがキレて、平手打ちを食らわした。
「オマエ、それでも水商売かよ」
マリの声が店内に響いた。ケンタは、ヘネシーを吐き出しそうになった。心底悔しかったが、何の返答も出来なかった。ケンタは、最後まで彼女らに付き合ったが、途中トイレに駆け込んだ。『なめんなよ』と思った。涙交じりにゲロを吐いて、席に戻った。今は、客のあしらいもうまくスマートにこなす。

僕も石井もたまにしか店を休まない。水商売は、気ままだ。睡眠を削りさえすれば、オールタイムフリーだ。
「最近由美子どうしてる」
「結婚したって、聞きましたよ。金持ちのオヤジと」
「誰に聞いた?」
「斎藤、ユーモアボスの」
「よく知ってるなあ」
「元々斎藤の紹介で来たんですよね。食ったんでしたっけ」
「ああ2回ほど、オレには何も言ってなかった」
「自分からは何も言わないですよ。いつもの事じゃないですか」
「うん。女って、そういうものなんだよなあ。結婚前のアバンチュール、最後のあがき。オレは、独身最後のナイト的役割を果たしたのか。因果なもんだ。女に惚れたら、終わり」
「惚れないでしょう。そんな感情もう捨てましたよ」

✳この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

心が心を奪う。『K・陽子』vol.10

るるぶより


Episode 080


不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.10

 

大原三千院

嬉しそうな表情をした渡瀬さんがいた。
バースデー、誰にでもある一年で一番ハッピーなアニバーサリー。最愛の妻と気の置けない仲間たちと一緒に過ごす。僕は、幸せだった。世間一般的な見地からすれば、、

そしていつもの時間がやって来た。僕は、電話を掛けずにいた。もっと適当な言い方をすれば、掛けられずにいた。陽子は多分知っているだろう、この集まりを。だから、来なかった。彼女は、バカじゃない。ぼくを困らせることも考えたかもしれない。でも、そんな事をすれば、返って惨めになるだけだ。それに僕たちの関係は、何も超えてはいない。

深夜二時前に会は終わった。皆が帰って行った。タイミングよく電話が鳴った。
「もしもしお利口さんにしてましたか。ダメですよ、ママのことを忘れては。いつまで待たせるのよ。私には、おめでとうを言わせないつもり。お風呂から出て何時間経っていると思っているの。陽子が風邪を引いたらどうしてくれるの。ママに一の瀬さんのこと言いつけてやる。怖くない。パパにだって、言いつけてやるんだから。そうしたら、困るでしょう。弟だって、体育大出なんだから、その辺のヤンキーより強いんだよ」
うまく言い訳出来なかった。陽子の気持ちだけは分かった。切なくて歯がゆくて悲しくて、それらの感情を消化出来ないもどかしさと時間を過ごす。僕ら2人の間に存在するもの、それを愛と呼ぶのか。少なくともそれに近い性質のもの。僕らふたりは、恋人なのか。秘密の世界を共有するパートナーとでも言うのか。陽子と二人異空間に飛べたら、何も考えなくていい。誰にも邪魔されず二人だけが存在する。僕は、何故彼女と付き合う。僕は、何を求めているのか。答えを出せない。僕が理解してるのは、陽子が僕を必要としている、と言うことだけだ。

大原三千院百万遍
僕と陽子は、最低週に一度は会った。誕生日から何日か過ぎた後、三条京阪で待ち合わせて、バスで大原へ向かった。

大原は、僕が京都で一番好きな場所だった。街中にあるお寺と違って、ゆったりとした時間の流れの中で観賞できる。少し傾斜のある参道を歩きながら、深閑とした世界に身を委ねる。木々の緑も眩く目に飛び込んでくる。空気に淀みがない。深呼吸すると肺が清められるようだ。時折鳥のさえずりが聞こえてくる。姿が見えたかと思うと、一瞬にして飛び立ち視界から消えてしまう。三千院の境内の一角には、観音様が何百と並ぶ。どの顔も僕に微笑み掛けているようだ。僕も微笑みを返す、精神が彼らと融合するように。時空は、一体何を求めているのか。何も生み出せないでいるこの僕に…

三千院は、寂光院と対だ。三千院を下り、最初の道に戻って道路を渡り、寂光院へ向かう。田舎道を歩いて10分程の道のりにある。
三千院寂光院に初めて来たのは、大学一年の時だ。その頃、僕は枚方にある学生寮に住んでいた。先輩二人と寮の賄いを作ってくれている栄養士の女性と四人で、先輩が運転する車に乗って京都に向かった。西も東も分からない田舎者にとって、ワクワクする遠出だった。その時起こった出来事を今でも忘れずにいる。先輩の一人は、足が悪かった。いつもピッコを引いていた。子供の頃、病気をしたようだった。三千院の境内の中で足を滑らせた。彼は、いじけた風に言葉を吐いた。それをもう一人の先輩がたしなめた。ほんの一瞬の出来事だったが、他人の人生の有り様を見た気がした。


寂光院に向かう道のりを、ほのぼのとした農村の風景を眺めながら散歩する。11月の気候では肌寒さを感じるが、陽子と訪れたこの日は、陽気がよかった。
「見える。鳥がいっぱい飛んでる。ほら、よく見て」
「見えた。見えたよ。何て言う鳥なのかなあ。やっぱり田舎だ。街中じゃあ、見れないね。こんなに空が広くない。のどかでいいね。ねえ、寒くない」
「大丈夫、心配してくれてるの」
「風邪なんかひいてもらったら、君のママに叱られる。言いつけるだろう」
「本当にそんなことすると思っているの」
「うん」
「じゃあ、言いつけてやる。バカね」
陽子との会話は、僕自身を解放させた。僕のキザなセリフを彼女は素直に受け止める。元来僕は、俗世間的な会話には馴染まない。男達が集まると始まる下世話な会話に商売上は付き合うが、後味の悪さにいつも自尊心を傷つけられる。あえて言うなら、翻訳された小説の中の会話が好きだ。それからハリウッド映画の中で交わされるウイットに富んだセリフ、相手の感情を揺さぶるキツめのジョーク、気の利いた例え話、それら全てが僕を魅了する。小説の世界も映画の世界も僕の感覚にフィットする。

「お腹すいてない?もうちょっと歩くと蕎麦屋さんがあるんだ。割と美味しいよ」
「お腹空いてるの?一の瀬さんが決めて。でも、美味しくなくては嫌よ」
「たぶん、大丈夫。たぶん。うん。ちょっと不安だな。一年前だよ、食べたのは」
「誰と?」
「うん。ほらほらあのう。友達と4人で…」
「奥さんと一緒だったんでしょう。そうでしょ」
陽子が、意地悪な顔をしてこっちを見る。
「だったら、おかしい?」
「あっ、生意気。嘘つかないの。そうだよね。奥さん以外とだったら、そっちの方が変だもん」
陽子の表情が、寂しげに見えた。心が心を奪う。今すぐ抱きしめたかった。抱きしめてどうする。もっとマシな言い訳をするのか。それで僕は、満足できるのか。ままごと遊びの関係をいつまで続ける気なのか。手を出さない。それを誠実と呼べるのか。心は、陽子の側に、身体は、Sの側にある。僕は、二人とも裏切っている。
結局蕎麦屋には、立ち寄らなかった。北大路までバスで戻って、東大路を南に真っ直ぐ歩いて百万遍に向かう。百万遍を左に曲がって
銀閣寺道に行くまでの道に長崎ちゃんぽんの店がある。いつもいっぱいで、他の客と相席させられる。
陽子は、初めてだった。美味しいと一言言った。おきまりのキスの儀式は、執り行なわれなかった。きっと忘れていたんだろう。


食事をした後、百万遍でバスを待った。陽子は、見送り役だ。会話がいつもより少ない。三千院まで行って疲れたのか、元気がない。陽子をじっと見る。大きな目に涙を溜めていた。いつもの別れだ。特別なものではない。その気になれば、いつでも会える。恋、彼女は、僕に恋してる。
僕は、さよならの言葉が出なかった。バス停に取り残された彼女が、悲しそうで愛おしく思えた。

✳この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

マッケンナを飲み干せ!『K・陽子』vol.9

アズザクロウフライより


Episode 079

2023年11月4日深夜発


今日の思い、今日の出来事@京都

10月23日に
空海の会』に参加したのですが、
僕の中に宗教に助けを求めるような意識はなく、お世話になってる吉田さんに誘われるままに参加した次第です。

とは言え、学ぶべきものは,学ばないと参加した意味がありません。

空海様の真言宗
三密行というものがあります
『身の修行』『口の修行』『意の修行』
身:正しい姿勢
背筋を正し、美しい振る舞いを心がける
口:言葉づかい
感謝の気持ちを持った言葉づかいを心がける
意:思いやりの心
正しく物事を判断できる心を養い、些細なことに流されず、優しい言動・行動を心がける

僕みたいな人間には,難しいですね、
怒りを抑えることができない事がよくあります
相手に話す言葉が強くなってしまいます
後で反省するのですが、
その場は、感情に支配されてしまう

僕が助けようとする子供達は、
世の中のことを知らず、純粋で
ワガママに育っているかもしれません

ワガママを聞いてあげて、
世の中に適応してもらうように
言葉を伝えなくてはいけません
ワガママと我慢の戦いです

子供を養うって、本当に大変な事だと思います
子供を持つ家庭の親御さんは、日々戦っていると思います
自分一人でも生きるのが大変なのに、
体力も精神力も、それに財力がないと
出来ないですね


僕の理想は、『参加型子供食堂』です
今自分がやってるお店の仕事は、それほど難しいものではありません
子供でも出来る事が、沢山あります
それを子供達に教えてあげる
自分で料理を作る、家族に食べてもらう
そう言う形態のお店を作ることができれば、世の中にデビューする前に世の中の事を少しでも知っていれば、スタート地点が違うのではないかと、それと家族との絆を深める事が出来るのではないかと、

2018年にアルメイダ神父を大分駅前のホルトホールで演じた僕に与えられた使命は、子供達を救う事なのかなと思う今日この頃です

 

 

不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.9

 

ヘンリーマッケンナ

 

渡瀬さんは、女の子に振られる度に宮ちゃんと2人でお気に入りのヘンリーマッケンナを一晩で一本飲み干した。
その後は、店の近くにある天下一品で、シメの『こってり』のチャーシュー麺を注文し、残ったスープにライスをぶっかけて完食する。健康の事を考えてしまう僕には、到底真似の出来ない行動だった。僕は、いつもあっさりとこってりの中間のミックスをオーダーした。それで十分満足出来た。

Sが来て、30分もしないうちに渡瀬さんが宮ちゃんを伴ってやってきた。
「アニキ!Congratulation!コングラッチュー、レーション」
渡瀬さんの好きな米米CLUBのノリで入って来るなり、宮ちゃんと踊り始めた。他の客があっけにとられて2人を眺めていた。僕は、扱いに困って、目で合図してSに助けを求めた。
「渡瀬さんお待ちかねよ。美也子の隣に座って一緒に飲もうよ」
「コンバンワ、カールスモーキー渡瀬参上です。どうもどうもお待たせいたしました。宮ちゃん食べるのが遅いから、僕としては早く来たかったんだけど、ちょっと遅れました。アニキの誕生日へようこそ」
「先輩、人のせいにするんですか。宮です。はじめまして。よろしくお願いします。ちなみに恋人募集中です」
「宮ちゃんは、いいとこのボンなんです。芦屋知っています。金持ちが住んでいるので有名な神戸の山手、そこに実家があるんです。将来は社長っすよ」
「僕は家を継ぎたくないんです。親父と同じ人生を歩きたくないって言うか」
宮ちゃんワールドが始まりそうになる。
「オラオラカッコつけんでねえべ。今夜の主役はオレだっちゃ」
「そうよ。渡瀬さんも宮ちゃんも自分の事ばかり。今日は、誰かさんの誕生日、世界で一番能天気なパパが生まれた日よ」
「飲みますか、みんなで。アニキおめでとう乾杯!」
Sがプレゼントを持ってきてくれた。手編みのマフラー、渡瀬さんか羨ましそうに僕の方を見た。
「渡瀬さん、美也子にアタック、アタック!マフラー編んでくれるかもしれないよ」
「お願いします。今夜はゆっくり飲んで下さい。僕が後で送って行きますよ」
「先輩何考えてるんですか。危ないなあ」
「宮ちゃんこそ、何考えてるの。小夜さん僕危なくないですから」
「そうですよね。渡瀬さんは悪くない。女に見る目がないだけですよね。ハハッ!小夜さん問題ないっすよね。今が旬、お買い得ですよ。無理にとは言いませんが、明日の昼なんかどうです。デートしてあげたら」
「アニキ、そんな言い方したらダメでしょう。強引すぎますよ」
「ううん、オッケーします。どこへ連れて行ってくれるんですか。渡瀬さん」
「えっ、ホントに!本当にいいんですか」
「先輩、焦らず慌てずに」
「何だよ」

✳この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

いつものカクテルで。『K・陽子』vol.8

イメージ pixabay


Episode 078


2023年11月3日深夜発
今日の思い、今日の出来事@京都

2日は,誕生日でしたが、
やはり、幾つになっても誕生日は,いいものです。ですよねー

はあ⁈ いいわけがない!
飲食の仕事に従事してる限り、
文化の日イブに休みは,取れない

僕の人生で8割以上の割合を占める飲食店勤務、だから誕生日に休むことは奇跡に近い(奇跡が好きだね)

お店は,祭日前とあって、スタッフが悲鳴をあげるほど忙しかった
そして、祭日の今日も忙しかった
暇な日は,最近ないですね
毎日老体に鞭を打って
仕事に励んでる状態でありんす
それでも、スタッフとの関係が良くて、
僕としては、幸せな時間なのですが

いつまでダラダラと無意味な話を続けるつもりなんだと、お怒りのようなので
本題に移りますか…

誕生日メッセージを頂いた方の中に
2018年に福岡で僕が撮影に参加し、2019年に公開された映画のプロデューサーの方がいて、25日に京都に仕事で来るということで、夜は、お店に寄っていただくことになりました
昼間は、ロームシアターで先行上映される映画鑑賞のお供に僕も参上することになり、もしかしたら、来年くらい
映画に呼んでいただけるのではないかと
ちょっと期待しております
実は、最近の事ですが、
「来年は,映画に出る」と公言していたので、またもや、神仏の力が働いたのかもしれません

前回の映画を紹介しますと
福岡を舞台にしたハッカー映画
『電気海月のインシデント』です
2019年4月13日に新宿で舞台挨拶があり、僕も演者の1人として参加しました

ワンシーンだけでしたが、ちゃんとセリフも頂いて、キャラ作りには苦しみましたが、爪痕を残せたのではないかと
それにしても、あれから5年が経つのですから、誰も僕を必要としていない
と言うのが、現実ですね

諦めの悪い性格なので、世の中に認めてもらうまで頑張りますか!?


不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.8

 

「意気地なし!なんで見送ってくれないのよ。一の瀬さんって、そういう人だったの。勇気がないんだから」
「勇気なんて必要ないさ、男が女を好きになる時には。陽子がオレの気持ちを知っていれば問題ないだろう」
「そういうセリフだけは、人並み以上なんだ。それで普通の女は騙せてもね。陽子みたいに賢い女の子は、騙されないんだから」
「そんなつもりはないよ。オレは、真面目に取り組んでいるんだから、君との恋愛に」
「ところで誕生日は、どうするの。誰かさんと一緒」
「残念なことにオレ、誕生日に仕事を休めないんだ。文化の日の前日だから、稼ぎ時って言うやつ」
「じゃあ、お店に行こうかな。困る?大丈夫だよね。一の瀬さん気にしないよね。帰りに送ってもらおうかな」
少し困った。その日の状況次第か。簡単には、店を抜けられない。12時を回れば、店も落ち着いてると思うが。サブの石井にうまくやってもらうか。一時間もあれば、戻って来られる。

陽子は、結局現れなかった。代わりにSが、やって来た。同僚の美容部員小夜美也子を連れ、まんまる顔にいつもの笑顔を浮かべて店に入って来た。誕生日のような行事には敏感な性格だった。
「思ったより空いてるのね。後で渡瀬さんが来るって。ほらこの前渡瀬さんに紹介したでしょう。小夜さんの方に電話があったの。遅くに来るって、まだ来てないみたいね。向かいのお店でご飯でも食べてるのかなあ。小夜さんに何か美味しいのを作ってあげて。私いつものカクテルでいいから」
『いつものカクテルで』って言われて、陽子の顔を思い浮かべた。彼女ならきっと注意する。
「『で』じゃないでしょう。『が』って言わないと相手は傷つくの。何でもいいみたいに思えるでしょう。『いつものがいいな』って言ってあげると相手は嬉しいの」
陽子の考え方が好きだった。ちょっとした気配りで人間関係は、変わるものだ。
「どうかしたの。私変なこと言った」
Sが、訝しげにこちらを見る。美也子も妖艶な眼差しで僕を眺めていた。
Sの会社では珍しく、世間一般の美容部員が与える印象を彼女は持ち合わせていた。美也子は、キツめの化粧が華やかさを演出し、振る舞いの中に夜遊び慣れた感じのする女性だった。渡瀬さんが彼女にご執心する理由が分かる気がした。僕には、彼女が本気で渡瀬さんを相手にするとは思えなかった。もっとも渡瀬さんが好きになる女性は、彼の手に負えないタイプが多かった。僕の眼の前で繰り広げられる渡瀬さん主演の恋愛ドラマは、結末がいつもブルーエンドだった。

 

✳この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。