弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

ミドリが、グラスの中を漂う。

イメージ HILOVEDより


Episode 23
今日は
仕事で疲れたせいか
何も考えが浮かばない
こう言う時は、奥の手を出すしかない

不定期に繰り出す
小説を載せよう 笑笑

(Episode18からの続き)

 

不定期恋愛小説「K・陽子」vol.2

 

「笑わないでください。そんな意味で言ったんじゃないのに」
「ごめん、ごめん。でもおかしいんだから、それにまだオレ何も言ってないし」
「だから、初対面でしょう。失礼でしょう」
「わかった。うん、、、
ところで彼女何か飲む。とびっきり美味しいのを作ってあげようか。最近流行りのカクテル『ユートピア』これ飲むと気分は最高。ハイになれるよ」
「そうやって毎晩女の子を口説いてるんでしょ。渡瀬さんの言う通り、アブナイ!」
「ええっ、何です。誤解ですよ。新聞記者の方がタチが悪いって。だって、毎日記事を書いてるんだから、女の子の気を引くなんて朝飯前だよ。自分のことを棚に上げてしょうがないなあ。でも、注意した方がいいかな。たまにカクテル1杯で惚れる子もいるから」

ボクの自慢話は、何故かスルーされた。
「あのう、チケット売ってください。いくらですか。二枚欲しいんです」
「はい、はい。前売りで一枚1200円、二枚で2400円貰います」
「五千円でお釣りを貰えますか」
陽子は、ブランドのバッグの中から黒いレザーの財布を取り出した。新札の5000円札がボクに手渡された。ポケットを探る。店の仕入れにお釣りとしてもらったお金を彼女に手渡した。
「彼と来るんですか。妬けますね」
「違います。友達のみゆきと行くんです。残念でした。あの訊いてもいいですか。今度のお芝居ってどんなの。陽子、大学は芸大に通ってたんです。結構いるんですよ、お芝居をやってる友達が」
「ええ、じゃあ困るなあ。オレたちって、そんなに上手くないです。それに今度の舞台に乗せるのって、オレが書いたオリジナルなんですよ。だから、あまり期待しない方がいいですよ」
「面白そう、名前教えてください」
「芝居の名前ですか。『新撰組シンドローム199X年夏、、』その中でオレの役が、国家秘密警察京都支部、隊員の坂本龍馬。リーインカーネションの話なんです。新撰組から226、そして現在に生まれ変わって、仲間に再び出会って、同じ夢を見て、時の権力と戦う。カッコいいでしょう。でも、オレの役は体制側なんです。悪い人」
「あのう、名前。坂本さんの本当の名前は、何て言うんですか」
「渡瀬さんに聞いてないんですか。一の瀬です。ほら、めぞん一刻って知ってます。主人公の五代と同じアパートに住む一の瀬さん。いつも扇子を振ってるオバちゃん。彼女と同じ、キャラは全然違うけど」
「その映画は見ました。踊りも出てくる。舞台っぽくストーリーが展開するでしょ」
「あの映画って、好き嫌いがあるよね。オレは、まあまあ楽しんで見たけど」
「映画はよく見るんですか?ねえ、今度一緒に観に行きませんか。とっても観たい映画があるんですけど、みゆきあんまり好きじゃないって言うんです」
「ちょっと待って!ウウン、オッケー。デートの話全部断ってでも行きますよ」

初めて会った時から彼女のペースでストーリーが進行した。僕は、あえて断りもせずに彼女に支配される状況を楽しんだ。でも、僕には妻がいた。これはゲーム、ありがちな恋愛ゲームなんだ。
薄グリーンの透明なロングカクテルを彼女のために作った。ジンベースにミドリリキュールを目の前で静かにドロップする。それにレッドチェリーを手際よくカクテルピンで飾る。ミドリが、グラスの中を漂う。目の前に座る相手のハートを波立たせる。一瞬優しく微笑んで相手の視線を誘う。そっと絡ませ冷たく外す。同じ手を何度使ったことか?最初の頃は、誰も反応しなかった。今の僕は、プロに近い。ハートを奪うマジックをマスターしてる。女は、簡単に手に入る。サラリーマンになっていたら、地味な人生を過ごしていたと思う。昔の僕は、女性と会話することにもためらいがあった。
魔法にでもかかったみたいに、陽子は僕に関心を持った。まるで僕が宇宙の彼方から彼女の為にこの地球にやってきた星の王子様であるかのように… 陽子にとっては、理想の存在だった。僕に出会うまでの彼女は、一体どういう男性と付き合ってきたんだろう。僕が安っぽい男だと気づくまで、これからどれくらいの時間を彼女は費やすんだろう。


✴この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


不定期恋愛小説「K・陽子」vol.1

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