弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

意気地なし。『K・陽子』vol.7

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Episode 077

 

不定期恋愛小説 『K・陽子』vol.7


木屋町通り六角西入る)
10月の舞台公演は、目前に迫っていた。僕は、一人で芝居のチケットを100枚近く捌いていたが、台本は後半部に入って歩みを止めていた。僕の脳内コンピュータは、アップアップで枯渇寸前に陥っていた。
僕には、その台本を完成させる才能がなかった。最終的に出来上がった台本は、芝居の前半部と後半部で彩りが違った。僕が前半部で提示したテーマへの回答は、結論付けられていない。何故なら後半部は、僕が書いていない。僕を芝居の世界へ導いてくれたパートナーSが、加筆した。
Sは僕の奥さんで、お芝居だけでなく、歌も僕の先生だった。Sとは、86年に知り合い、90年に結婚した。二人の間に子供はいなかった。
陽子を紹介してくれた渡瀬さんとは、家族ぐるみの付き合いで、渡瀬さんの同僚の宮ちゃんも参加して、4人で色々なイベントを企画した。
10月31日のハロウィンパーティもその一つだった。ハロウィンパーティに陽子も友達のみゆきを連れて現れた。
陽子と僕の関係を知らない渡瀬さんが、彼女ら2人を招待したのだ。関係と言っても、ままごと遊びなのだから、他の誰に話すと言うのか。
Sの兄も参加した。陽子らと同じテーブルに座った。渡瀬さんが、司会を担当した。
「さあ、皆様。今宵は、思う存分楽しんでください。ハロウィン大賞には、なんと当店のマスターよりボトル一年分と熱い抱擁が、。と言うのは冗談ですが…」
渡瀬さんが、会を仕切る。みんなをまとめるパワーだけは,他の誰にも負けない。
なのだが、彼は、30歳を超えているというのに、結婚もしていなければ恋人もいない。女の扱いが下手なのか、理想が高いのか。陽子の友人の話だと、ベットインしたら、相手を必ず左隣に寝かせるらしい。こだわる理由は、分からないが、女の子にとって面倒臭いタイプなのかもしれない。

パーティは、盛り上がりに欠けたが、企画した僕たち4人は、一応に満足した。
陽子とは、ほとんど話せなかった。
僕たちの関係は、誰にも気がつかれなかった筈だ。陽子は、パーティの途中で帰った。僕は、見送るかどうか躊躇したが、行動に移せなかった。
その夜、陽子からの電話で」と言われた。


✳この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。