弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

Challenge in Shanghai vol.2 柿安無間道

イメージ pixabay


Episode 040

柿安無間道
2007年4月28日〜10月31日
ハンバーグ原価、メニュー変更、食中毒事件、労働争議、公安接待、
火事騒動、中華と和食の諍い


何日か後で、峰二食品の小玉社長から
柿安の赤塚保会長が、いついつ上海に来るので
時間を合わせて柿安に来てくれと
連絡が入った

面接の日、お店に着くと
広い店内の一角で
赤塚保会長が、ハンバーグを試食していた
日本側でハンバーグの店を展開するらしい
成功しか頭にない面持ちで
小玉社長に話かけていた

僕は自分を売り込むタイミングだと考えて
今働いている焼肉店
メニューの中にハンバーグを入れていて
ハンバーグだけは,僕自身が調理をして
材料費は,いくらかかってます
と口を挟んだ

その話が功を奏したのか
4月28日から働くことになった

柿安は,上海では『柿安国際美食』と言う名前で営業していた
5月から
それまでのビュッフェスタイルをやめて、オーダーバイキングを取り入れる事になっていた
業態変更に伴って、人員削減も計画されていた

メニューは,すでに決まっていた
上海に何軒かある繁盛店『伊藤家』のメニューを参考にしたものだった
中国で10年以上、日本料理に関わって来た僕は
お客様のニーズには合ってないと思い
メニューを変更してもらう事にした

メニュー内容は,全て僕が考えて
メニュー制作は,僕の知り合いの西村さんにお願いした
日本から出張で来ていた料理人の方も
そのメニュー内容には,満足してくれた

オーダーバイキングも浸透してきて、お客様の流れも落ち着いて来た頃、とんでもない事件が起きた
以前食事に来た中国人のグループが、食中毒になったと言い、賠償金を要求して来た
医者の診断書も持参していた
主任クラスの上海人スタッフが、僕に処理をしてくれないかと言って来た
柿安が大きな会社だと言う情報を持っていて,お金を取れると考えたのだ
僕は,うまく解決するためのアイデアを残念ながら持っていなかった
結果、お金を払って解決した
田舎モンが、都会に出て来て、汚い社会の渦に呑み込まれるそんな事件だった

僕が柿安で働き始めた時、スタッフの数は97人、スイーツ部門だけでも、5人の人間が働いていた
予定されていた人員削減が始まった
主任クラスの上海人も含めて、一人一人クビを切られていった

ある日解雇される事に不満を持ったスタッフ数人が、一階のエレベーターの前に陣取って、お客様の入店を妨害した
柿安は,そのビルの2階にあった
僕は,一人で一階に降りて、彼らの言い分を聞いて,会社に提案することを約束して彼らを移動させた
こう言うシチュエーションには,日本にいる頃から慣れていたので
丸く収める自信があった
度胸だけは人並み以上あった
昔ヤクザと言い合いしたこともあった
あんまり自慢することではないが、

中国では,大きな箱でやってる店だと、
公安、消防、衛生局などと仲良くしなければならない
所謂『接待』が、必要不可欠になる
僕は,現場でのトップのポジションにいたので、公安の接待をやらされた

僕一人で3人の公安とお酒を酌み交わす事になった
中国式乾杯の応酬で酒の量は半端なかった
彼らの一人が潰れるほど4人で酒を浴びた
公安の連中が帰った後、当然のように酔いが回って来た
その日は,日本から深圳でお世話になった河村さんが来ていて、知り合いのクラブに二人で行ったのだが,カラオケを一曲も歌うことなく酔い潰れてしまった

本当に申し訳なかった

to be continued…