弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

Challenge in Shanghai vol.3 カニ炎上

「かに道楽看板」 号外NET大阪市より


Episode 41

柿安無間道
2007年4月28日〜9月30日
ハンバーグ原価、メニュー変更、食中毒事件、労働争議、公安接待、
火事騒動、中華と和食の諍い
✳過去のメイルのやり取りをチェックしたら、柿安@上海は,9月30日で店を閉めていました

色々と問題を抱えながら
売り上げを上げるにはどうしたらいいか
日々頭を悩ませながらも
柿安で働ける喜びを感じながら
明るい未来を想像していた

集客については
Wheneverなどのフリーペーパーに広告を載せた効果なのか
日本人グループが、日に日に増えていった

毎月のように
山梨県人会、群馬県人会、我が故郷の大分県人会などの団体予約が入った

須藤さん率いる天下の日通さんには,
8月1日に270人、2日に300人の人数で利用してもらった
7月半ばに日通さんに出向いて
須藤さんと打ち合わせをしていた

1日は,日通さんの他にも
鹿島建設80名、ローソン20名の団体も来店し、店内は大盛況だった

問題は、家賃だった
柿安が払う家賃は、法外な金額だった
管理費込みで1ヶ月60万元を超えていたと記憶している
当時のレートを参考に日本円換算すると
一千万円に手が届きそうな金額だ

家賃は,三日で稼ぐものだとよく言われる
1日の売り上げが、単純に計算して
300万円なくてはならない
客単価5,000円だとしたら、
1日平均600人の集客が必要だ
480席あるのだから、可能性は無いわけではない
1ヶ月18,000人を集めるレストランは,存在するのだろうか?
勿論存在するだろうが、、

集客がダメなら、客単価を上げればいい
誰のアイデアかは知らないが
会長の提案で
カニ料理をやる事になった
オーダーバイキングは,そのまま残して

日本のカニ道楽なら、
お酒をオーダーしてもらったら、、
客単価15,000円も夢ではない
集客数1日200人で済む勘定になる

カニ料理は,8月18日から始める事になった
広い店内の中にカニ料理を提供する為の
専用の個室が何室か造られた
カニ道楽を真似て、巨大なカニがビルの上に設置された
このカニが、とんでもない事件を起こす
そんなシナリオを誰も予想してなかった

カニ料理メニューの内容が決まり、
メニュー制作を西村さんにお願いした

道路沿いの通りが見える部屋で
料理の撮影を行った
部屋には,カメラマンと西村さんと僕の3人がいた


突然、道路上に人だかりが見えた
窓の外を見ると、火の粉が落ちていくのが見えた
人だかりは、どんどん増えていった
僕は,勇気を出して一階に降り、ビルを見上げた
巨大カニが、火花を出しながら燃えていた
終わったなと思った
僕が想像していた明るい未来は,途方もなく遠くに感じられた

消防車が、何台もビルの下に止まる
野次馬が通りに溢れかえった
巨大カニは燃えたが、不幸中の幸いと言うべきか、ビル自体は火災を免れた
それでも翌日の新聞には,写真付きで大きく取り上げられた
ビルが面する通りは,淮海路ワイハイルーと言って、有名な観光地だった

火事の原因は,工事に携わった人間の配線ミスだった
警察や消防局の人間が、大挙してお店にやって来た
現場の責任者は僕だ
みんなの視線が僕に注がれる
消防局の人間が、『柿安』は悪くないと
穏やかな表情で、その場の人間に説明してくれた
日頃の接待が、役に立ったと感じた

イメージ pixabay


カニ料理は,予定通り8月18日に始まった
フリーペーパーに広告を載せると
日本の人からも予約が入って来た

明るい未来が、又近づいて来た
と僕は生来の楽観主義者に戻っていた


そんな僕の思惑とは違って
日本側で上海店閉店の動きが始まっていた
それは,光速のスピードに近いものだった

to be continued…


追記
2007年当時は知らなかったが、
日通の須藤さんは,僕が2010年に参加する上海アパッシユの立ち上げメンバーだった
そのことを知るのに、2014年の再会まで時間を要した

須藤さんとは、昨年の11月21日に上海アパッシユのメンバー5人で銀座で食事会をした

不思議なもので
僕の人生は,出会いと再会に彩られている