弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

ボクは、何もしていない。


Episode 045

その夜のストーリーを伝える前に
その頃の中国の状況について、少しだけお話しする

僕が深圳に渡ったのは、
何度も言うが、1996年だった
その年の4月1日にオープンした
日本料理店の立ち上げから始まった

その店は『村川』と言う名で
西武ビルのトップフロアー29階にあった、向かいには五つ星の陽光酒店(サンシャインホテル)があり、
夕方になるとホテルの前で
毎晩200人以上の女性が、客引きをしていた、彼女らは、世間では鶏(チー)と呼ばれていた

深圳は、中国での最初の経済特区
多くの中国人が、金を得る為に他の土地から出稼ぎに来ていたが、仕事を探すのも大変だったし、
『村川』のウェイトレスの1ヶ月分の給料は、住まいと食事は、補償されていたが、日本円で一万円だった
それでも、周りの日本料理店よりも高かった
普通の仕事では、生活するのも大変だった、そんな理由で手っ取り早く金を手に入れる為に客引き行為をする女性が多かった

僕がKと知り合った97年も
まだまだそう言う類の女性が、
街のあちらこちらに存在した

知り合いの三洋に務めるHさんは、
夜クラブの女の子と歩いてただけで 公安に捕まり2万元(当時のレートで26万円)払わされた

そう言う話は、他の日本人からも聞いていた、だからKの部屋に行くのは、危ない橋を渡る行為だった


その3週間前にも危ない橋を渡っていた
96年から知り合いだったFと食事をした後、どう言う流れだったか思い出せないが、彼女の部屋に夜の10時に行き、
部屋に入って数分も経ってないのに
二人の公安に踏み込まれていた
派出所に連れて行かれたが、Fには、公安の知り合いがいて、なんのお咎め間なく解放された

さらに問題なのは、
その夜初めて知ったのだが、
FとKは、同じマンションに住んでいた

 


彼女の部屋に入る
ベッドに誘われる
彼女の右隣に寝る
服は,着たままだ

酔いに任せて家に来てしまったが
僕は,何もする気がなかった
彼女に興味を持ってなかったし
友人の関係だったFと2週間前に付き合い始めていた

部屋に入って10分も経ってなかった
入り口のドアをノックする音が聞こえた
何度も激しくノックする
こんな夜中に何が起きようとしてるのか!?

3週間前の出来事が脳裏によぎる
公安だ、それに違いない
すぐにベッドルームを抜け出して
一人でソファーに座った

何故か❓鍵は開けられて
3人の男が侵入して来た
一人の男の左腕には,『警察』と書かれた腕章が、男が僕を睨んで来る
「お前ら、何をしていたんだ」
「何もしてないよ、それに僕はあまり中国語を話せないんだ」
「そんな話信用出来るか!!」

ベッドルームには、彼女がいる
公安が、執拗に僕を罵る

事実何もしてない僕は、
段々と頭に血が上っていった

僕は,ソファーから立ち上がり
3人の公安の面前で
ズボンを脱ぎ、パンツを脱ぎ
「コレを見ろ!何もしてないんじゃ!」
と大声で叫んだ

突然のパフォーマンスに驚いたのか、
「分かったから、帰っていいよ」

一階の入り口まで
一人の公安が見送ってくれた
「オレは、お前の事を知ってるからな、コレから気をつけるんだな」

その後、その公安と通りで顔を合わせることがあった
僕に向かってニコニコしながら、
「悪いことしてないか⁈」と声をかけて来た

Fとは、その事件の何日か後に別れた


to be continued…