アナタは、豚年?
Episode 058
過去最高の売り上げだった昨日の話になるのですが…
そんな日にも
中国人らしきカップルが、お店に登場した
年齢的には,50代くらいか、もっといってるかもしれない
お店には,日本語と英語のメニューしかない
京都駅近くにあって、観光客がひっきりなしに顔を覗かせるロケーションにあるのだから、普通に考えて中国語のメニューがあったり、韓国語のメニューがあったりするのだろうが、お店自体にそう言う類のサービス精神が全くなく、状況に応じて外国人観光客の入店を拒否している有様だ。
勿論理由があって、客単価が低くなる可能性があるからだ。
特に平日は,一階しか開けていないので、カウンター席10席、ボックス席8席、合わせて18席しかない。少ない席数で、店のシステムに慣れていないお客様を入れることは,オペレーション的にも問題が生じる。
反対に金曜日と土曜日は,2階席36席もオープンするので、トータルで54席になってしまう。キッチンは,平日同様、二人だけで回してるので、忙しさが半端なく、週末の2日間は,疲労困憊の極致と言ってもいいくらいだ。
はたして二人は,要領を得ないまま、ずっと英語のメニューとにらめっこ状態でオーダーする気配はない
アジア系の観光客なら
Googleかなんかで
スマホで翻訳してオーダーするのだが、
そう言うやり方も知らない感じだ
どうやら、僕の出番のようだ
中国語で話しかける
你想吃什么?
すると、急に笑顔になった
串カツを薦めると
中国語で
海老はどれ?豚はないのか?
他に何を注文すれば、いいのかと
質問して来た
豚は,中国語で「猪肉ツーロウ」
海老は,「虾シャー」
ハムは、「火腿フオトイ」
結局,二人が食べたいものを入れて、適当に10本選んであげた
それと,日本酒の熱燗をオーダーしてくれた
カウンターから観察すると、楽しげに会話をしていた
さあ、ここで気づかれたかもしれないが
何故豚が、中国語では猪肉になるのか?
話は,過去に遡る
中国の広東省深圳にいた頃
1997年4月3日から仕事がなくなり、
貧乏生活を数ヶ月味わった
住む家もなく、中国の友人Fに頼んで探してもらった(Episode45に登場した彼女です)
見つかったアパートは、間借りで400元(約6,000円)
深圳市の党校と言う場所に
香港人の旦那がいる20代の人妻と3歳くらいの女の子と身の回りの世話をする親戚の20代の女性が、3人で2LDKに住んでいた
そのアパートにFと出向き、
不思議な話なのだが、僕は,その一室に住まわせてもらうことになった
僕を合わせて四人の同居生活が始まった
仕事もなく時間を持て余していた僕は,トイレやバスルームやリビングの掃除を毎日のようにやった
リビングには,テレビがあったので、毎日のように鑑賞した
勿論、日本のテレビなどやってるはずもなく、香港、中国のテレビドラマを中国語字幕で見るしかなかった
香港のテレビドラマ『難兄難弟』は,中国語をあまり理解していない僕でも興味深い内容だった
香港芸能界が舞台で、
1992年に香港で上映された映画のテレビ版だった
最終回で兄貴役のセリフに心を動かされた
他のドラマは,面白くなかったが、中国語の勉強にはなった
ある日テレビを見ていると
干支の十二支に関係するCMが、画面上に流れた
普通なら12番目に来るのは,猪ですよね
豚が代わりに登場したので
思わず笑ってしまった
ギャグなんだろうと思った
後で知ったんですが、ギャグじゃなかったんです
十二支の最後に登場するのは,正しくは、豚なんですよ
猪は,イノシシではなく、豚なんですよ
日本での使い方が、間違ってるんですよ
イノシシは、中国では,野猪と言います
十二支の文化も、漢字も
中国から伝わって来たものです
猪年の方に怒られるかもしれませんが、
アナタは、豚年なんですよ
今日は,この辺で
再见!
追記;
奇妙な同居生活2ヶ月目に3歳の娘さんは,香港の旦那さんの家に引き取られ、親戚の女性は,田舎に帰り、僕と若い人妻との二人だけの生活が始まった
彼女の旦那さんは,タクシードライバーで1ヶ月に2回週末に家に訪れた
僕の顔を見ると
「いつも家を綺麗にしてくれて有難う」
と英語で話しかけてきた