弥山凌ハーフロックタイム

〜凌の気ままな日常〜

ウイスキーをハーフロックで グラスにウイスキーと水を半々に注ぐ 度数も下がって程よく酔っ払う そんな気分で… いくつになっても夢追い人、演者 弥山凌(ミヤマリョウ)の、取り止めもない、よもやま話を今夜も聞いてもらいましょう。

「K・陽子」vol.3

三条京阪駅 京都ライフより


Episode 026
世の中は、相変わらず慌ただしく動いてます

最近の話題となると
ジャニーズ事務所のことになりますが

時期を逸してると言うか
遅すぎるんだよね
当事者本人がいない訳で
マスコミなんて所詮
権力に媚び諂って成り立ってるビジネスだから仕方がないのかなと…

僕の認識では,
フォーリーブス北公次さんの告白本が
34年前に世の中に出た時点で
知る人ぞ知る情報で
なのに何の動きも起こらなかった

その時点でマスコミの存在意義は,
糞食らえでしょう
まあそんなところで。

 

不定期恋愛小説「K・陽子」vol.3
(Episode23からの続き、下記にURL)

前回までのあらすじ;
一の瀬が経営するBARに陽子が現れる。一の瀬の舞台公演のチケットを買う目的だったのだが、何故か二人で映画を見に行く流れになる。恋愛ゲームの始まり…

 

(三条通り、新京極通り)

デートの約束の日は、それからまもなく訪れた。川端通三条京阪の駅で陽子を待った。外は、秋の気配をわずかに感じ取れた。彼女は、前回と同じ香水を身に纏い、待ち合わせの時間に少し遅れて現れた。高山彦九郎の像の下で待っていた僕を見つけ、特徴のある大きな目を輝かせて、小走りに近づいてきた。彼女が僕のそばに立つと、シャネルの香水が僕をも包み込んだ。
「ごめんなさい、陽子遅れた?」
甘えるような声で僕に尋ねた。昔彼女と付き合った男達も彼女の声音に囚われたのか。
「時間通り、オレちょっと早く来すぎた、って言うか。心配だったから」
「何が?」
「本当に来るのかなって、だって急だったから、話の展開が。それに…」
「それに何?」
「いや、別に大したことじゃないよ。僕側の問題って言うか」
僕が既婚者だと言うことに、彼女は疑問を抱いていないのか。少なくともそれくらいの情報は、持っているはずだった。あのおしゃべりな渡瀬さんの紹介なのだから…

恋の始まりには、どんな質問が用意されている?審判が尋ねる、アナタは、妻子持ちですか?yes! このゲームには、そのような方は参加出来ません。悪しからず!
僕が見る限り、彼女は『婚姻において生じる異性間交友権利の消失』(渡瀬さんとは、このテーマについて何度も議論した)の意味について深く考えるタイプの人間ではなさそうだった。二人がこれから旅する世界には、一般人が有する世間的概念は存在しない。純粋な恋愛なんだ。いわゆる不倫とは訳が違う。僕の目的は、きっと他人とは異なっている。身体ではなく、彼女の心を奪う行為。時には、ミイラ取りがミイラになる場合もあるが…

(ジェニファー・リンチ)

「早く行こう。座れないと困るでしょう」
「大丈夫!平日だから」
水商売稼業を営んでいるものの生活の中で便利なことは、平日の日中に行動できる事だ。女の子と二人で遠出する時も、人が少ない平日を選べる。どこへ行っても、煩わしい人混みに遭遇することはない。世界は、二人だけのために存在する。
三条通りをゆっくりと並んで歩く。知り合いが見てないとも限らない。河原町は、学生の頃から慣れ親しんだ街だ。昔よく利用した行きつけの喫茶店もある。行きつけのカラオケパブ、レストラン、ボウリング場、数え上げたらきりが無い。
僕を密かに知っているものもいるだろう。僕の行動を密かに笑っているものもいるかもしれない。京都は、他の都市に比べてアミューズメントスペースが少ない。極端に言えば、夜になるとどこへ行っても知り合いと出会う危険性があった。
京阪から河原町までの三条通りを歩く。一年一年、通りの顔が変わる。長い間変わらぬ店もある。気がつくとよく行ってた店に何年も行ってなかったりする。サンプルケースを表に出したお好み焼きの横を通る。まだやってたんだ。
昔Fと一緒によく食べに来た。注文する料理は、いつも同じものだった。ヘルシーな素材、リーズナブルな価格設定。何故行かなくなってしまったのか。それすら思い出せない。Fと共に消えた記憶。

通りの右手には、明治屋がある。僕が京都に来た頃には、レストランもやってた。今は、輸入品を中心に扱う食品スーパーマーケット。他の店とは違った商品を取り揃えている。中には誰が購入するのか分からないような舶来商品もある。店の一階で売られているパンは、一流ホテル並みで柔らかくて美味しい。

リプトン京都三条店 Holidayより

 

河原町通を渡って三条商店街に吸い込まれる。以前に比べると装いをモダンにリフォームしたリプトンがある。ここは昔から他所とは一味違った雰囲気の店だった。ちょっと気取っていて、庶民が語らいの場所として利用するには比較的リッチな値段設定だったりする。紅茶を楽しむには最も適した空間で、定番のケーキも大きくて、甘さも控えめで美味しい。向かいの十字屋は、様変わりした。若者に媚びた内装が、時代の流れを感じさせた。
何人もの女と、この通りを行き来した。僕は、いつも恋を求めていた。恋を成就すると言う行為は、山の頂上に上り詰める感覚にどこか似ている。初めての山に登る時、頂上までどれくらいの時間がかかるのか。頂上までどんな道を登っていくのか。畏れがあり、期待があり、戸惑いがあり、感動があり、躊躇があり、歓喜があり、それら全てがないまぜになって僕に襲いかかってくる。
歩きながら、陽子が僕に尋ねた。
「デヴィッドリンチを知ってる。有名な監督、鬼才って言われてるの。彼の娘が作ったの、これから見る映画」
「女性の監督って、あんまり聞かないよね。オレがあんまり知らないだけか」

✴この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

不定期恋愛小説「K・陽子」vol.1

https://ichyfunfunfun.hatenablog.com/?page=1693875414

不定期恋愛小説「K・陽子」vol.2

https://ichyfunfunfun.hatenablog.com/entry/2023/09/09/093106